襖は、取り外しがきき、かつ吸音・断熱効果や防音・調湿効果などにも優れた日本独自の間仕切りです。ぴんと張りつめたなかにも、ふっくらとした柔らかい味わいで、落ち着いた和風の雰囲気を醸し出してくれます。
木材で組んだ格子の両面へ和紙で幾層かの下張りを施し、さらにその上に仕上げ用の化粧を施した和紙、または和紙で裏打した布を貼って上張りとし、その周囲を囲むように木製の椽を取り付け、最後に襖の開閉を助けるための引手を嵌め込むという作りになっており、最初から後々の張替えを前提として作られています。
特に下張りの工程には、骨縛り、蓑張り、べた貼り、袋張り(浮張り)、清張りなどの複数の工程があり、種々の和紙を幾重にも丁寧に張り重ねて出来あがります。下張りや上張りの仕上がり次第で襖の耐久性は大きく違ってきますし、調湿効果の面からも、その土地の気候などに合わせて使用する紙質を選択してゆく必要があり、それらは表具師の熟練の技術にかかっています。
※近年の襖はコスト削減のため、中身の骨の部分が段ボールで作られているものが多く出回っています。これらは湿気で駄目になってしまい安いため、張替は出来ません。詳しくはご相談下さい。